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世界大学ランキングTHE・QSの違いを解説:東大はTHE26位・QS39位——日本の大学は本当に凋落したのか

THE世界大学ランキング2026とQS世界大学ランキング2027(ともに最新版)を比較解説。東大はTHEで26位に上昇、QSでは39位へ4年連続下落。順位が割れる理由を評価方法の違いから読み解き、トップ10、日本の大学の推移、「凋落」論の妥当性、英語圏バイアスなど限界まで整理します。

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結論:同じ東大が「26位」と「39位」——世界大学ランキングは1つではない

「世界大学ランキング」と呼ばれるものは、実は複数あります。もっとも引用されるのが、英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション社のTHE世界大学ランキングと、英クアクアレリ・シモンズ社のQS世界大学ランキングです。

そして2026年7月時点の最新版では、東京大学はTHEで26位、QSで39位。同じ大学の同じ時期の評価が、13位も違います。しかも方向まで逆で、THEでは3年連続の上昇(29位→28位→26位)、QSでは4年連続の下落(23位→28位→32位→36位→39位)です。

これは矛盾ではありません。THEとQSは「測っているもの」が違う別のランキングだからです。ニュースで「日本の大学が凋落」と聞いたときは、まず「どちらの、何年版の話か」を確認する必要があります。本記事では、両者の評価方法の違い、最新のトップ10、日本の大学の順位と推移、そして「凋落」論の妥当性とランキング自体の限界までを、裏取りできた範囲で整理します。

THEとQSは何が違うのか

まず基本情報を並べます。年号の読み方に注意してください。THEは「2026年版」を2025年10月に、QSは「2027年版」を2026年6月に発表しており、この2つが現時点の最新版どうしです(QSは学年度風に翌年の年号を付ける慣行です)。

THE世界大学ランキングQS世界大学ランキング
発行元Times Higher Education(英)Quacquarelli Symonds(英)
最新版2026年版(2025年10月9日発表)2027年版(2026年6月18日発表)
対象115か国・地域の2,191大学1,504大学
評価の骨格5分野・18指標9指標を5領域に整理
配点の重心研究寄り:研究の質30%+研究環境29%+教育29.5%+国際性7.5%+産業4%評判と出口寄り:研究・発見50%(学術評判30%+教員あたり被引用20%)、雇用20%、国際性15%、学習体験10%、持続可能性5%
データの特徴論文の被引用など書誌データの比重が大きい世界の学術関係者・雇用者への大規模評判調査が中核

ざっくり言えば、**THEは「研究大学としての総合力」**を、**QSは「世界での評判・就職・国際性」**を測っています。留学先選びならQS、研究力の比較ならTHE、と使い分けられることが多いのはこのためです。

なお、両者はもともと2004年に共同でランキングを作っていた「元同僚」で、2010年に袂を分かって別々のランキングになった経緯があります。ほかに上海交通大学系のARWU(学術ランキング)などもありますが、本記事は日本で報道量の多いTHEとQSに絞ります。

THE世界大学ランキング2026:トップ10

THE 2026年版(2025年10月9日発表)のトップ10です。オックスフォード大学が10年連続の1位を守りました。

順位大学スコア
1オックスフォード大学98.5
2マサチューセッツ工科大学(MIT)97.7
3プリンストン大学97.4
3ケンブリッジ大学97.4
5ハーバード大学97.1
5スタンフォード大学97.1
7カリフォルニア工科大学96.8
8インペリアル・カレッジ・ロンドン96.5
9カリフォルニア大学バークレー校96.2
10イェール大学96.0

トップ10は米7・英3。11位以下では、清華大学が12位、北京大学が13位(アジア勢トップ)、シカゴ大学15位、シンガポール国立大学17位が続きます。THEは今回、「アジアのトップ大学の上昇が14年ぶりに止まった」と分析しており、清華・北京の順位が数年横ばいになったことが話題になりました。一方で米国は、トップ500に入った大学数が過去最少になるなど、層の面では地盤沈下が指摘されています。

QS世界大学ランキング2027:トップ10

QS 2027年版(2026年6月18日発表)のトップ10です。MITが15年連続の1位で、しかも総合スコアは満点の100。

順位大学
1マサチューセッツ工科大学(MIT)
2インペリアル・カレッジ・ロンドン
2スタンフォード大学
4オックスフォード大学
5ハーバード大学
6ケンブリッジ大学
7カリフォルニア工科大学
8チューリッヒ工科大学(ETH)スイス
8ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
10シンガポール国立大学シンガポール

見比べると面白いのは、THEで1位のオックスフォードがQSでは4位THEで8位のインペリアルがQSでは2位という入れ替わりです。同じ英国のトップ校でも、研究の質で測るか、評判と雇用で測るかで序列が変わります。

11位以下では香港大学11位、南洋理工大学(シンガポール)12位、北京大学13位、清華大学14位とアジア勢が続き、香港中文大学は14ランク上昇の18位。QSは今回の発表で「アジアの台頭」と、ビザ政策などを背景とした米英加豪の相対的な地位低下を指摘しています。

日本の大学はいま何位か(東大・京大ほか)

最新版での日本の主要大学の順位です。THEとQSで顔ぶれの順序まで変わる点に注目してください。

大学THE 2026QS 2027
東京大学26位39位
京都大学61位64位
東北大学103位102位
大阪大学151位95位
東京科学大学301–350位97位
名古屋大学201–250位156位
九州大学301–350位171位
北海道大学351–400位179位
早稲田大学801–1000位201位
慶應義塾大学601–800位213位

(THE 2026は筑波大が351–400位に入るなど日本から過去最多クラスの115校がランクイン。QS 2027でトップ100に入った日本勢は東大・京大・阪大・東京科学大の4校です。)

推移を見ると、両ランキングの「物語」の違いがはっきりします。

  • 東大(THE):29位 → 28位 → 26位(2024→2026年版)。3年連続上昇で、2015年の23位以来の高順位です。
  • 東大(QS):23位 → 28位 → 32位 → 36位 → 39位(2023→2027年版)。4年連続の下落です。
  • 京大(THE):55位 → 61位(2025→2026年版)と後退。
  • 京大(QS):50位 → 57位 → 64位(2025→2027年版)とこちらも後退。
  • 東北大(THE):120位 → 103位と17ランク上昇。政府の10兆円大学ファンドによる「国際卓越研究大学」の第1号認定校で、その投資が反映され始めたという見方があります。

「日本の大学の凋落」論は正しいのか

「東大がまた順位を下げた」というニュースは毎年のように流れます。この「凋落」論はどこまで正しいのでしょうか。半分正しく、半分は雑というのが実態に近いと考えられます。

正しい部分——構造的な弱点は本物です。QS 2026年版の指標別スコアを見ると、東大は学術評判100点、雇用実績100点、雇用者評判99.9点とトップ校そのものなのに、外国人教員比率は15.9点、留学生比率も44点と、国際性で壊滅的に点を落としています。THE 2026でも東大は教育94.7点(世界10位)・研究環境94.2点(同14位)に対し、国際性50.8点、研究の質68.2点。つまり「評判と教育は世界トップ級、国際化と論文の被引用インパクトが弱い」という診断が、THEとQSの両方で一致しています。長期の研究費の伸び悩みや博士人材の減少といった土台の問題は、順位以前に日本の課題として実在します。京大が両ランキングで後退を続けているのも軽視できません。

雑な部分——順位の上下をそのまま実力の変化と読むのは危険です。第一に、最新のTHEでは東大は3年連続で「上昇」しており、「一方的に凋落」という描写は最新データと合いません。第二に、順位は方法論の変更や他国の伸びだけでも大きく動きます。日本の大学が停滞している間に中国・香港・シンガポール勢が資金と国際化で急伸すれば、相対順位は自動的に下がります。第三に、日本からTHEに115校もランクインしていること自体、層の厚さの証拠でもあります(ただしTHEによれば、前年より順位を上げた日本の大学は**約4%**にとどまり、層全体の地盤沈下は否めません)。

要するに、「凋落」の正体は急落ではなく、国際化・研究投資のレースでの相対的な出遅れです。少子化で国内の学生獲得競争が変質するなか、大学の国際競争力をどう立て直すかは教育政策の中心論点になっています(この論点は少子化とエリート大学入試をめぐる議論でも扱いました)。

議論・批判:ランキング自体の限界

世界大学ランキングには、方法論への根強い批判があります。順位を引用するなら、最低限ここは押さえておきたいところです。

  • 英語圏バイアス:THEの研究指標は英エルゼビア社の論文データベース(Scopus)に依拠し、収録は英語論文が中心です。評判調査も英語圏の研究者ネットワークで有利に働きやすく、日本語圏・非英語圏の大学は構造的に不利という指摘が定番です。人文・社会科学など自国語で研究成果が出る分野ほど不利になります。
  • 指標操作(ゲーミング)の余地:学生数や収入などの基礎データは大学の自己申告が基本です。また配点が公開されているため、「留学生比率を上げる」「被引用の多い分野に投資する」など、教育の中身ではなく指標に最適化する行動を誘発するという批判があります。極端な例では、被引用数を人為的に稼ぐ研究者の引き抜きが問題化した国もあります。
  • 利益相反の指摘:QSは大学向けのコンサルティングや広告事業も手がけており、評価者と営業先が重なることへの疑問が繰り返し提起されています。
  • 方法論変更で順位が跳ぶ:THEは2024年版で指標を大幅改定しており、改定前後の順位は厳密には連続していません。「10年前と比べて何位下がった」という比較は、実は同じものさしでの比較になっていないことがあります。
  • そもそも「教育の質」は測れていない:授業の質や学生の成長そのものを直接測る指標はほぼなく、測っているのは研究力・資金力・評判・国際性の代理変数です。

こうした限界は、世界幸福度ランキングの「主観評価の癖」や、EIUの住みやすい都市ランキングの「駐在員目線」と同じで、国際ランキング全般に共通する構造です。順位そのものより、同じものさしで測った経年変化と、指標の内訳を見るほうが情報量は多くなります。

まとめ:順位の「読み方」3か条

世界大学ランキングを見るときの実用的な作法は、次の3つに尽きます。

  1. 「どちらの、何年版か」を必ず確認する。最新はTHE 2026(2025年10月発表)とQS 2027(2026年6月発表)。年号の付け方が違うため、見出しの数字だけ比べると1年ずれます。
  2. 順位より指標の内訳と経年変化を見る。東大の「THE26位・QS39位」は矛盾ではなく、研究の質で測るか評判・国際性で測るかの違いです。弱点(国際化・被引用)が両者で一致していることのほうが、順位の差より重要な情報です。
  3. 1つの順位で大学や国の優劣を断定しない。ランキングは英語圏中心のものさしで測った一断面であり、方法論が変われば順位も変わります。「凋落」も「復活」も、複数年・複数ランキングで確認してから語るのが安全です。

次の更新は、2026年秋のTHE 2027年版。東大の上昇基調が続くのか、QSとの「ねじれ」が解消に向かうのかが注目点です。

なお、QS単体の最新版(2026年版)については、トップ10と日本勢の順位、評価指標の中身をQS世界大学ランキング2026で個別に整理しています。


出典:THE World University Rankings 2026(2025年10月9日発表、115か国・地域2,191大学)のトップ10・傾向は Times Higher Education の発表記事および公式ランキングページ、方法論(5分野18指標)は公式メソドロジー文書を参照。日本勢の順位は nippon.comBetween情報サイト、東大の指標別スコアと2015年以来の最高順位である点は東大新聞オンラインで確認。QS World University Rankings 2027(2026年6月18日発表、1,504大学)のトップ10と日本勢は ReseEdMIT News、QS 2026年版の東大指標別スコアと推移は東大新聞オンライン、QS 2026年版の日本勢順位は ReseEd(2025年6月)、京大のQS順位は京都大学公式ページを参照した。

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Toshi Time編集部

世界のランキングを出典と選定方法から、新NISA・iDeCo・配当・年金を制度と税引後キャッシュフローから整理します。※金融商品取引業の登録はなく、個別銘柄の推奨や投資助言は行いません。

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